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2025年04月16日

名盤と青春◉未だに若々しい美しさの極み クリュイタンス パリ音楽院管 モーリス・ラヴェル 管弦楽全集

果たしてこれ以上の演奏が可能と言えるであろうか。

JP 東芝EMI AA9332D クリュイタンス/パリ音楽院管 モーリス・ラヴェル 管弦楽全集

JP 東芝EMI AA9332D クリュイタンス/パリ音楽院管 モーリス・ラヴェル 管弦楽全集
 ラヴェルといえばアンドレ・クリュイタンス、とされるほど、収録から60年以上の歳月を経ても最高位にランクされる名演。しなやかで繊細なニュアンス、精妙で瑞々しい感性に満ちた響きは、いつ聴いても時代を超越した官能の世界を提示してくれる。
 パリ音楽院管弦楽団は今は存在しないが、管楽器の音色の美しさと細やかな表情、弦楽器の柔らかな響きと美しい音色はラヴェルのオーケストレーションを最大限に活かしているし、クリュイタンスはオーケストラの自発性を活かしながら、巧みなコントロールで繊細で洗練された演奏を生み出している。

 ラヴェルが自作の曲をオーケストラ用に編曲した2曲。ラヴェルの管弦楽曲は、光彩陸離たる華麗なオーケストレーションが魅力の一つであり、それ故に多くの指揮者によってオーケストラ曲としての醍醐味を味あわせてくれる数々の華麗な名演が成し遂げられてきているところであるが、クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団の演奏は、理想的な名演です。《マ・メール・ロワ》での目のつんだ優しい響き、《高雅にして感傷的なワルツ》での絶妙な気品、いずれも「本物のラヴェル」が存分に味わえます。

 各フレーズには独特の洒落たニュアンスと瑞々しいまでの感性が満ち溢れており、常にコクのある響きが全体を支配しているのが素晴らしい。そして現代的な清新さを兼ね備えている。果たしてこれ以上の演奏が可能と言えるであろうか。

マ・メール・ロワ
昔、ある国で双子のお姫様が産まれた。王様が妖精達を招待するが、その中で年長のマゴティーヌという妖精により、姉(レドロネット)は醜い姿に変えられてしまいます。

レドロネットは、自ら、お城から遠く離れた塔に移り住み、あるとき森を散歩中に緑色の蛇に出会います。蛇は、あなただけが不幸なのではなく、あなたよりも醜い私を見て私より美しく生まれたことを学ぶよう言います。

レドロネットは、その後、塔の前にある海にあった美しい金色のボートに乗ります。ボートにはオールが1本ありました。レドロネットはオールを手に取って海の水をかいてみました。舟はゆらゆらしていましたが、そのうち動き出しました。ところがそのままボートは沖へ流され、海は荒れてあやうく死にそうになります。どのくらい長い時とどれほど遠くまで漂っていたのか、そこには町がありました。風はなく、平らな湖面を舟はゆっくり波紋を広げながら進み、岸に近づいてきました。町の建物は屋根や壁が太陽の光を浴びてきらきら輝いています。よく見れば陶器でできた町でした。

レドロネットが目覚めると、そこは美しい宮殿の中。そこには100体のパゴダ人形がいて、レドロネットをもてなします。レドロネットが着物を脱いで、水晶に金で装飾されたお風呂に入ると、パゴダ達は、歌ったり楽器で音楽を演奏し始めます。男も女も歌を歌い、楽器を奏で始めました。ある者は胡桃の殻で作ったテオルボを、またある者はアーモンドの殻で作ったヴィオールを抱えていました。パゴダ人形たちの寸法に釣り合う楽器と言ったらそんなものだったからです。

遠くでホルンによる狩りのラッパが鳴り、王子の到来を告げる。
《ダフニスとクロエ》全曲は、ラヴェルの管弦楽作品の中で最も規模が大きく、また管弦楽法の極致といっても良い作品。

 パリ音楽院管弦楽団の持つ弦楽器や管楽器の柔らかく、まるで夢を見ているような美しい響きはどうでしょう。管楽奏者たちの上手さにも唖然とさせられます。そのパリ音楽院でデュカスに師事したルネ・デュクロの率いる合唱団も神秘的な歌声で、天上から聞えてくる声のようです。

ダフニスとクロエ
エーゲ海に浮かぶ美しい島。山羊に育てられている一人の男の子をある日山羊飼いが見つけ、「ダフニス」と名付けて育てることにしました。2年後、ある羊飼いはニンフの洞窟に捨てられていた女の子を見つけ、「クロエ」と名付けて育てることにしました。やがてダフニスが15歳になったころ、ニンフの洞窟で身体を洗うダフニスを目にしたクロエは、水を浴びる彼の身体の余りの美しさに目を奪われて恋に落ちてしまいました。けれどもまだ「恋」というものを知らない彼女は、自分の心の状態を、どうして良いか解らないでいました。

ダフニスとクロエは、ある日、老人に出会いました。老人は「恋の神様」の話を二人にします。すると彼らは自分たちが今その状態にあることに初めて気が付きます。ある日、海賊が町を襲いました。略奪をして、美しいクロエも一緒にさらわれてしまいました。そこにパン神が現れて不思議な現象が起こります。やがて「夜明け」となり、クロエは無事にダフニスのもとへ戻ってくることができました。かつてパンがニンフに恋をした想い出へのお返しだというのです。二人はニンフの洞窟の前で再開して、盛大な披露宴が行われて全員が踊ります。

レコード・クレジットとノート

プロダクト

  1. オーケストラ:
  2. パリ音楽院管弦楽団
  3. 指揮者:
  4. アンドレ・クリュイタンス
  5. 作曲家:
  6. モーリス・ラヴェル
  7. レーベル:
  8. 東芝EMI(東芝音楽工場)
  9. レコード番号:
  10. AA9332D
  11. 録音種別:
  12. STEREO
  13. 製盤国:
  14. JP(日本)盤
  15. 製造年:
  16. 1973

レコードのカバー、レーベル写真

クリュイタンス/パリ音楽院管 モーリス・ラヴェル 管弦楽全集 東芝EMI AA9332D
クリュイタンス/パリ音楽院管 モーリス・ラヴェル 管弦楽全集 東芝EMI AA9332D
《多色刷り解説書完備》
東芝EMI製, STEREO 4枚組, YLX直輸入メタル使用盤.
LP黎明期の息吹が残っているような凝った訂装と多色刷り解説書、幾多あるクリュイタンス盤の中でも最も入手難初期セットほぼノーノイズの新品同様完璧セット

ラヴェル:管弦楽作品集第1集(SACDシングルレイヤー)
アンドレ・クリュイタンス
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-07-26


ラヴェル:管弦楽作品集第2集(SACDシングルレイヤー)
アンドレ・クリュイタンス
ワーナーミュージック・ジャパン
2017-07-26


ラヴエル:管弦楽曲集(第3集)マ・メール・ロア
パリ音楽院管弦楽団
東芝EMI
1996-11-20




ラヴェル:管弦楽曲全集
ルネ・デュクロ合唱団
EMIミュージック・ジャパン
1997-03-05


  


2025年04月16日

通販レコードのご案内♭「時の過ぎ行くままに」「夏の日の恋」「 バラ色の人生」「枯葉」比類なきマントヴァーニの世界

〝ムード音楽〟の巨匠が紡ぐ、魅惑のストリングス

『魅惑の宵』『シャルメーヌ』『ムーラン・ルージュの歌』…。1950年代から60年代にかけ数多くのヒット曲を世に送り出し、〝ムード音楽〟というイージーリスニングを草分けるムーヴメントを起こし、新たなジャンルを確立、常にその第一線で活躍し続けた巨匠・マントヴァーニ。
彼が紡ぎ出してきた数々の音色は今もなおその輝きを失わず、以後登場する同種のムード音楽オーケストラに多大な影響を与えました。まさに彼なくしてムード音楽は語れないほどの偉大な存在です。
ここにご紹介する英デッカのオリジナル盤で、まるで滝が流れ落ちるかのように美しいストリングスの響きが奏でられる、マントヴァーニの代名詞〝カスケーディング・ストリングス〟も存分にお楽しみいただけます。
黄金の60、70年代ポップス、往年の銀幕の名曲、ミュージカルの傑作、英デッカのバックアップを受けたフルオーケストラのゴージャズな作品やストリングスが魅力的なクラシックや世界の民謡などの名曲も心が洗われる思いで聴き入ってしまいました。
アヌンツィオ・パオロ・マントヴァーニは1905年、イタリア・ベニスに生まれ、1980年に逝去。はや40年の歳月が過ぎましたが、帝王カラヤンも彼のレコードから学んだものがあるんじゃないかと思うくらいの「カスケーディング・ストリングス」と呼ばれる、滝が流れ落ちるようなその美しいヴァイオリンの響きは、マントヴァーニの代名詞でもあり、今なお人々を魅了している。彼の父親はミラノ・スカラ座のヴァイオリン奏者で、アルトゥーロ・トスカニーニのもとで演奏していた。幼い頃英国に移住。マントヴァーニ自身はヴァイオリニストからライト・ミュージックに転向し、楽団指揮者、作・編曲者として記録的な成功を収めます。時はレコード産業に追い風が吹いていた時代で、英デッカの専属となったことで、ステレオ・レコーディングの恩恵を彼ら楽団は受けた。こうして英国人の音楽家として、ビートルズに次ぐレコード・セールスを記録するとともに、米国でのコンサートツアーは常に満員であった。彼の楽団の指揮者としては、1963年に一度だけ来日している。

通販レコードのご案内GB DECCA SKL4640 マントヴァーニ楽団 時の過ぎ行くまま

  • 映画「カサブランカ」の主題曲だった「時の過ぎ行くままに(As Time Goes By)」をはじめ20世紀前半のミュージカル・ナンバーから1960年代のヒット「モア」(映画「世界残酷物語」主題曲)まで、さまざまなレパートリーをマントヴァーニ・サウンドならではのアレンジで聴かせる一枚。
  • GB DECCA SKL4640 マントヴァーニ楽団 時の過ぎ行くまま
原題〝The Incomparable Mantovani And His Orchestra〟は「比類なきマントヴァーニ楽団」というような意味か。1960年代のマントヴァーニの勢いが感じられるタイトルですね。

通販レコードのご案内GB DECCA SKL4044 マントヴァーニ楽団 コンチネンタル・アンコール

  • GB DECCA SKL4044 マントヴァーニ楽団 コンチネンタル・アンコール
  • ムード・ミュージックというジャンルを確立し、絶大な人気を誇ったマントヴァーニ・アンド・ヒズ・オーケストラ。
    ヨーロッパ各国の人気楽曲を集め、ムード満点のアレンジでまとめたアルバム。「これぞマントヴァーニ」と誰もが納得する傑作アルバムです。
カラー写真綴込み見開きジャケット ヨーロッパの名所の美しい写真が綴込みになったジャケットを眺めながらお聴きください。

オリジナル

通販レコードのご案内GB DECCA SKL4118 マントヴァーニ楽団 コンサート・スペクタクラー

  • スーザの「星条旗よ永遠なれ」から始まる、誰もが知っているメロディーを巧みにアレンジしたマントヴァーニ・サウンドが満喫できる一枚。パーシー・フェイス楽団の演奏で有名な「夏の日の恋」や「ポルカ雷鳴と電光」などブラスの響きが堪りません。
    オリジナル盤です。1960年発売。
  • GB DECCA SKL4118 マントヴァーニ楽団 コンサート・スペクタクラー

通販レコードのご案内GB DECCA SKL4118 マントヴァーニ楽団 コンサート・スペクタクラー

  • GB DECCA SKL4118 マントヴァーニ楽団 コンサート・スペクタクラー
  • スーザの「星条旗よ永遠なれ」から始まる、誰もが知っているメロディーを巧みにアレンジしたマントヴァーニ・サウンドが満喫できる一枚。
    パーシー・フェイス楽団の演奏で有名な「夏の日の恋」や「ポルカ雷鳴と電光」などブラスの響きが堪りません。1969年発売。

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。「クレジットカード決済」「銀行振込」「代金引換」に対応しております。

通販レコードの購入にあたって・確認とお問い合わせは

プライバシーに配慮し、会員登録なしで商品をご購入いただけます。梱包には無地のダンボールを使用し、伝票に記載される内容はお客様でご指定可能です。郵便局留めや運送会社営業所留めの発送にも対応しております。
入手のメインルートは、英国とフランスのコレクターからですが、その膨大な在庫から厳選した1枚1枚を大切に扱い、専任のスタッフがオペラなどセット物含む登録商品全てを、英国 KEITH MONKS 社製マシンで洗浄し、当時の放送局グレードの機材で入念且つ客観的にグレーディングを行っております。明確な情報の中から「お客様には安心してお買い物して頂ける中古レコードショップ」をモットーに運営しております。

  


Posted by WoodStockR at 11:45Comments(0)名曲選通販レコード管弦楽曲

2025年04月16日

千変万化*バックハウス、シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィル ベートーヴェン・ピアノ協奏曲5番「皇帝」

千変万化!

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
バックハウス(ヴィルヘルム)&シュミット=イッセルシュテット(ハンス),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ユニバーサル ミュージック クラシック
2008-10-08



CDはアマゾンで購入できます。


ベートーヴェンを聴く上で最初に選ぶべきレコード
バックハウス晩年のステレオ録音による比類なきく名演
渋みを持った美しいピアノ
シルキーで厚みのある弦楽パート
香ばしい輝きを放つ金管
個性的な響きを披露する木管!
高名な老巨匠であるから、
数えきれない回数演奏を重ねてきたはずですが
5曲の協奏曲の個性が活き活きとしている。

皇帝のファースト・チョイスベートーヴェンを弾く上でピアニストにとって意識せざるを得ない録音。ベートーヴェンを聴く者にとっても最初に選ぶべきレコード。

JP LON SLC1232 バックハウス・イッセルシュテット・ウィーンフィル BEETHOVEN EMPEROR

《最初期FFSS 180㌘重量フラット盤》JP LONDON SLC1232 バックハウス イッセルシュテット ウィーン・フィル ベートーヴェン ピアノ協奏曲5番・皇帝 BEETHOVEN EMPEROR


 鍵盤の獅子王と異名をとる日本でとりわけ人気の高いピアニスト。バックハウスのピアノですが、言い尽くされている通り特徴が無いのが特徴といえるでしょうか。要は、テクニックをひけらかすわけでもなく、その澄んだ音色ともあいまって、ひどくシンプルなのです。
 でも、繰り返し聞いていると、何か、そのピアノが、まるで、融通無碍(ゆうずうむげ)の境地で、自由にブラームスの音符と戯れているように、静かな所は静かに激しいところは激しく聴こえて来るところが、彼の魅力と言えるでしょうか。
 このバックハウスを土台からしっかり支えているのが、壮年期で充実しかけたシュミット=イッセルシュテット。テンポも速く、劇的な演出はどこにもないが、曲が進むに連れて熱気を帯びてくる。シュミット=イッセルシュテットの解釈であろうが、ウィーンフィルの奏者達のバックハウスへの献身こそが活気を呼び起こしているのかも。
 オーケストラは、アコースティックな響きを伴って迫ってくる。音圧が高く、音に密度と力がある。高域の空間と伸びは適度。低域は空間が広く、密度のある音。チェロをはじめとする弦楽器も温かい音色で、高低の分離も良い。お互いに晩年に差し掛かり 枯れた境地 が伝わって参ります。
 バックハウス晩年のステレオ録音による比類なく美しい名演です。この巨匠にとって最後のベートーヴェン協奏曲全集になるであろうことを指揮者もオーケストラも噛みしめて、最高のサポートをしています。高名な老巨匠であるから、数えきれない回数演奏を重ねてきたはずですが5曲の協奏曲の個性が活き活きとしている。もちろん「皇帝」が、その名の通りの出来で、山ほどあるレコードの中でも最高峰のうちの一つ。
 1959年ステレオ録音。バックハウスならではの悠然たるピアノ、彼が愛して止まなかったウィーン・フィルの典雅な響き、シュミット=イッセルシュテットの堅固な造形、これらが三位一体となった名演奏。彼の残した最も録音の条件の良い《皇帝》として、永く聴き継がれて行くことでしょう。
 シュミット=イッセルシュテット指揮ウィーン・フィルが作曲家の青春時代に相応しい希望に満ちたサポートを繰り広げています。永遠の名盤、ドイツ盤です。
1959年6月ウィーン、ムジークフェラインザールでのセッション録音。優秀録音、名盤。

レコードのクレジットとノート

プロダクト

Beethoven, Backhaus, Vienna Philharmonic Orchestra, Hans Schmidt-Isserstedt ‎– "Emperor" Concerto
レコード番号
SLC1232
作曲家
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
演奏者
ヴィルヘルム・バックハウス
オーケストラ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者
ハンス・シュミット=イッセルシュテット
録音種別
STEREO
製盤国
JP(日本)盤
LONDON 最初期 FFSS SLC1***盤, STEREO FLAT 1枚組 (180g) 重量盤, Release 1963, Stamper 輸入メタル使用盤ZAL-4597|8 2E/2E 最初期スタンパー。

レコードのカバー、レーベル写真

  1. JP LONDON SLC1232 バックハウス イッセルシュテット ウィーン・フィル ベートーヴェン ピアノ協奏曲5番・皇帝 BEETHOVEN EMPEROR
  2. JP LONDON SLC1232 バックハウス イッセルシュテット ウィーン・フィル ベートーヴェン ピアノ協奏曲5番・皇帝 BEETHOVEN EMPEROR

ベート-ヴェン的レガート奏法が散りばめられた第3番はベーゼンドルファーの雅で深い響きが徹底的に追求され、バックハウスの凄さに改めて驚嘆する。

協奏曲ディスク史上に輝く、人類の持つ至宝

 録音は、1956年以来1980年代にいたるまで、デッカのウィーンにおけるステレオ・セッションのホームグラウンドとなったゾフィエンザール。19世紀前半に浴場として建てられ、その後舞踏会場として使われていた建物で、ヨハン・シュトラウスも頻繁に舞台に立ちました。このホールは、細部の音まで明晰に収録・再現しようとするデッカのレコーディング・ポリシーに最適で、伝説的なショルティの《ニーベルングの指環》をはじめとする、デッカ・サウンドの代名詞となった名録音が次々と生み出されました。このホールの木質の温かみのある響き、適度な残響は、細部の一音に至るまで明晰に収録しようとする同社の録音ポリシーには理想的な会場で、そこでの録音は、オーケストレーションの綾や空間性を生々しく再現する骨太なデッカ・サウンドの代名詞ともなりました。独奏ピアノを不自然なほどにクローズアップせずとも細部のニュアンスとソロ楽器としてのプレゼンスを保つことができ、しかもオーケストラのマスとしての余裕のある響きも確保されています。
 1958年〜1959年の間に録音された全集ですが、その音質は全く古さを感じさせず、各曲共に統一された音質で時間の隔たりを感じさせません。音色は気品に満ち、タッチの一粒、一粒が、その音色の一つ一つの変化が分かるまでに明瞭(めいりょう)です。
 このベートーヴェンもその1枚で、バックハウスの渋みを持った美しいソロ・ピアノ(ベーゼンドルファー)を中心に、その背景に、シルキーでしかも厚みのある弦楽パート、香ばしい輝きを放つ金管、ウィンナ・オーボエやクラリネットなど個性的な響きを披露する木管などをくっきりと立体的に再現し、録音後、ほぼ半世紀を経た現在も、その鮮明なサウンドの魅力は色あせていません。
 この曲をフィジカルに熟知しているウィーン・フィルとバックハウスのあいだには一部の隙もなく、80歳を超えた大家が、シュミット=イッセルシュテット/ウィーン・フィルによる極上のバックを得て、堅固に構築された様式感をもって堂々たるピアノをきかせている。出来上がった演奏は豊かな風格を持ち、細部に至るまですべての要素がよく手の内に入っている。押し出しよく、伝統的な要素にも配慮が行き届き、間然とするところがない。まさに当協奏曲の大作の『金看板(盤)』と称してもおかしくないような存在感で、発売以来一度たりともカタログから消えたことのない、まさにエヴァーグリン的な名盤と称せましょう。
 本盤も第二次大戦の混乱期に乗じて格安で敗戦国隣国オーストリアの財宝ウィーンフィルを制圧した英デッカ社の戦勝品とも云える盤。英デッカ社はウィーン・フィル単体のセッションだけでなく、独奏者を仕立ててウィーン・フィルをバックにした数多くの協奏曲も制作した。鍵盤の獅子王と異名をとる日本でとりわけ人気の高いピアニスト、バックハウスによるベートーベンも高名なマエストロ用意してセッションを組んだ一例。バックハウスの全盛期最後とも言える1950年代後半の演奏。
ヴィルヘルム・バックハウス( Wilhelm Backhaus )は1884年3月26日、ドイツのライプツィヒ生まれのピアニスト。1969年7月5日フィラッハにて没。10歳で地元の音楽院に入り、1899年フランクフルトでダルベールに師事。16歳からプロとして活動を始め、17歳のときニキシュに招かれライプツィヒ・ゲヴァントハウス管でデビューする。1905年にはA・ルビンシテイン記念のピアノ・コンクールに優勝(このときの第2位がバルトーク)。後年演奏はほとんどドイツ音楽に絞り込み、偉大なベートーヴェン弾きとして、ドイツ音楽の伝統を継承した。
ハンス・シュミット=イッセルシュテット( Hans Schmidt-Isserstedt )は1900年5月5日、ベルリン生まれの指揮者。1973年5月28日、ホルム・ホルシュタインにて没。ベルリン大学で作曲と音楽学を学び、ドイツ各地の歌劇場を経て、1935年にハンブルク国立歌劇場の首席指揮者となる。1942年ベルリン国立歌劇場音楽監督、1945年北西ドイツ放送交響楽団首席指揮者、1955年ストックホルム・フィル常任指揮者などを歴任。モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスなどのドイツ音楽の正統的な指揮者として、その重厚な音楽作りには定評があった。また、バルトーク、ヒンデミット、ストラヴィンスキーといった20世紀の作品の演奏にも熱心に取り組んだ。
 レコードのステレオ録音は、英国 DECCA が先頭を走っていた。英 DECCA は、1941年頃に開発した高音質録音 ffrr の技術を用いて、1945年には高音質 SPレコードを、1949年には高音質 LPレコードを発表した。その高音質の素晴らしさはあっという間に、オーディオ・マニアや音楽愛好家を虜にしてしまった。ステレオ録音黎明期(れいめいき)1958年から、FFSS(Full Frequency Stereo Sound)と呼ばれる先進技術を武器に、数多くの優秀なステレオ録音のレコードを発売し、アナログ盤時代の高音質録音の代名詞的存在として「ステレオはロンドン」というイメージを決定づけ君臨しつづけた。1958年より始まったステレオ・レコードのカッティングは、世界初のハーフ・スピードカッティング。 この技術は1968年ノイマンSX-68を導入するまで続けられた。

最近のワイドレンジだけれどもどこか薄い音とは違う…

 その真相はニール・ヤングによる今のアナログ・レコードへのダメ出しが分かりやすい。
 現在はCD音源、ハイレゾ音源、デジタル・ストリーミング音源と音質も方式も様々だが、アナログ・レコードもアメリカのアンティークショップから発売されるものを中心にブームになっている。
自身もストリーミング会社を起こしたニール・ヤングがアナログ・レコードに対して物申した。
現在のアナログ・レコードはCDマスター音源から作られておりCDを超える音質となっていないそうだ。そして、これはデジタルよりもアナログが優位だとは言ってはいない。
 SACD で日常的に聴いているとワイドレンジにゆとりがあることが感じられる。デジタル録音はアナログ・マイクで拾った音をデジタル化される。CD用のマスター音源は、これにイコールではない。市販されているCDは規格が定められていて容量に制限が有る。
低い音、高い音(正確には周波数帯だが)をCDに入れられる範囲にカットされている音を聞いている。
一方、その昔のアナログ・レコードはアナログで録音され、その音源からレコードを製作していたので全ての拾える限りの音を捉えていました。ただプレス時の条件で個体差があるし、再生を重ねた時の摩耗、そして40年、50年もたった当時のレコード盤に使用されたマテリアルの経年劣化など、レコード盤の物理的な限界はあるとしてもね。
 デジタルは経年劣化や摩耗による低音の破壊は起こらない。ハイレゾ音源とは、デジタル録音した時にカットしていない音質を保ったままデジタル化した音源だ。(アナログは60分の音楽は60分分の録音テープが必要ですが、デジタルでは一様ではない。だから一概には定められないが、現在の市販CDにハイレゾ音源のそのままを入れると10分ぐらいの再生しかできないので商売に成り立たない。)マーティ・フリードマンもタモリ倶楽部で空耳アワード2015の回の時に音楽はベースラインが心地よいのに、「パソコンで音楽聞くと悲しくなります。ベースが聞こえないじゃないですか」って嘆いていましたね。

  


2025年04月16日

アナログレコードの文化を守る OYAG SOUND ― 商品価格改定のお知らせ

OYAG試聴室

商品価格改定のお知らせ

 平素よりオヤッグサウンド製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
昨今の原材料費、包装資材費などの継続的な高騰を受け、企業努力によるコスト吸収に努めてまいりましたが、現状の価格維持が困難な状況となっております。
つきましては、誠に心苦しい限りではございますが、2025年4月21日より、全商品の価格を改定させていただくこととなりました。
皆さまにはご負担をおかけいたしますが、今後もより良い製品をお届けできるよう努めてまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
今後ともオヤッグサウンドをよろしくお願いいたします。
2025年3月1日
オヤッグサウンド
代表 南野 勝

OYAGSOUND新価格

  1. OYAG SOUND 価格改定表
  2. LP用
    価格は
    税込み価格
    品名
    現行
    価格
    新価格
    OYAG33-200cc
    990
    1,210
    OYAG33-500cc
    2,090
    2,310
    OYAG33-1000cc
    3,190
    3,410
    OYAG33-2000cc
    5,060
    5,280
    OYAG33-4000cc
    8,030
    8,250

  1. OYAG SOUND 価格改定表
  2. SP用
    価格は
    税込み価格
    品名
    現行
    価格
    新価格
    OYAG78-200cc
    990
    1,210
    OYAG78-500cc
    2,090
    2,310
    OYAG78-1000cc
    3,190
    3,410
    OYAG78-2000cc
    5,060
    5,280
    OYAG78-4000cc
    8,030
    8,250

  1. OYAG SOUND
    価格改定表
  2. LP,SP用
    価格は
    税込
    品名
    現行
    価格
    新価格
    OYAGクロス
    770
    880
4月21日より新価格でお願いします。

アナログレコードの文化を守るOYAG SOUND


OYAG(オヤッグ)レコードクリーナークロス 20枚


OYAGクリーニング液とコンビで使う「OYAGレコードクリーナークロス」でレコードクリーニングがお手軽に安全に行うことが出来ます。
OYAGクロスは長年レコードクリーニングを研究してたどり着いた優れものです。
まずそのしっとりとしたソフトな質感、毛羽立ちが無く、全くレコードを傷つけることがありません、 くまなくレコードの音溝に入り込み汚れを吸い取ります。
しかも強靱で使用後の汚れたクロスを水洗い乾燥することで再び元の質感がよみがえり、再使用ができます。
このように他社では見られないすばらしい特徴をそなえたOYAGクロスはメーカーに直接交渉して開発を依頼し、少量の納品を可能としました。
それにはアナログレコードの文化を守るにはこのクロスがどうしても必要である、と開発者の強い意見がメーカー担当者を動かしたものです。

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見た目にはわからないレコードの汚れは、 ノイズ・傷の原因。 そんな汚れをしっかりと落とし、 汚れ・静電気の発生を抑え、クリアな音が蘇る。
レコードを永く楽しんでいただくために生まれたクリーニング剤です。
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レコードにOYAG33を滴下し、OYAGクロスで拭き取るだけで、レコードの汚れと静電気を取り新品のような艶がよみがえります。
しかも1度クリーニングしたレコードは静電気の発生が押さえられますので、汚れがつきにくくなります。
OYAGは1液完結タイプですので、簡単で手間がかかりません。
クリーニング後のレコードはノイズが軽減され、ノイズを気にすることなく音楽に集中できます。
そして再生された音はのびのびと今まで聞こえなかった音まで聴こえます。
まるでカートリッジのグレードをワンランクかツーランク上げたような印象をうけます。

  


Posted by WoodStockR at 00:00Comments(0)OYAG SOUNDおしらせ