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2025年05月08日

モダン楽器のよさを満喫◉ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管 バッハ・ブランデンブルク協奏曲 第3&5番

ドイツの伝統を踏まえたバロック音楽の演奏としては無視できない内容だ。

GB DECCA SWL8001 ミュンヒンガー バッハ・ブランデンブルク協奏曲3,5番

ブランデンブルク協奏曲第5番は第1楽章のフルートに柔らかく暖かい弦がらみながらのゆったりとした流れに、この曲の良さを実感します。
 第2楽章での、フルートの寂寥感に暖かいヴァイオリンのコントラスト、支えるチェンバロのトリオが味わい深く、そして、第3楽章の非常に明快なフーガが展開されていく様子は聴いていて実に心地よいです。
 ミュンヒンガーの《ブランデンブルク協奏曲》は、しっかりとした音の輪郭、そして弦楽器のつやのある音色。それに手ごたえのある音のアンサンブルが、何よりも心地よく響いてくる。
  • GB DECCA SWL8001 ミュンヒンガー バッハ・ブランデンブルク協奏曲3,5番
  • このミュンヒンガーの演奏はバロック音楽が大人気になるきっかっけを作ったとして有名、非常にリズムがしっかりしており、骨太でな音楽です。たっぷりの安定感で、ひたすらしっかりとしています。まるで、ずっしりとした大木がぐいっとパワフルに生えているような、ゆるぎのない素晴らしい演奏となっています。
また、弦楽パートを中心とした楽器の音色は、かなり明るめで、加えて、この演奏にはそれほどの深刻さがありません。つまり、音楽を聴いて何かを深く考えてしまうということとは無縁の演奏のタイプです。
言い換えればミュンヒンガーの《ブランデンブルク協奏曲》は非常にかっちりとしたスキの無い、安定感に満ちた演奏。そして、それほど心に響くようなものではなく、それでいて各楽器は極めて美しく鳴り響いていて素晴らしい。
 素晴らしく美しく響いている。これが物足りないようなときもありますが、それでもいつの間にかバッハの世界に浸りこむことには抵抗の出来ない魅力の力でしょう。
(1) record date:1958年10月
(2) record session:ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホール
(3) p&e:ジェームズ・ウォーカー
(4) addition:優秀録音、名盤

通販レコード詳細・コンディション、価格

プロダクト

品番
22206
商品名
GB DECCA SWL8001 ミュンヒンガー バッハ・ブランデンブルク協奏曲3,5番
レコード番号
SWL8001
作曲家
ヨハン・セバスティアン・バッハ
オーケストラ
シュトゥットガルト室内管弦楽団
指揮者
カール・ミュンヒンガー
録音種別
STEREO

販売レコードのカバー、レーベル写真

GB DECCA SWL8001 ミュンヒンガー バッハ・ブランデンブルク協奏曲3,5番
GB DECCA SWL8001 ミュンヒンガー バッハ・ブランデンブルク協奏曲3,5番

"ORIGINAL RECORDING BY THE DECCA"WIDE BAND WITH GROOVED ED1, STEREO (80g)10inch盤, Release 1959, Stamper 2M/2M。

コンディション

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX++
製盤国
GB(イギリス)盤

現代的な感覚に裏打ちされた整然たる演奏で、その骨格のしっかりした造形の美しさと緻密なアンサンブルは抜群のものである。1958年10月の音響の良いヴィクトリア・ホールでの録音。独奏者にクロツィンガー(ヴァイオリン)、コッホ、アゾネ(ヴィオラ)、ヴァルヒャ(チェロ)、グラス、フルードリッヒ・メス(フルート)、レヒナー(ハープシコード)。

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。
  • オーダー番号22206
  • 通常価格3,850円(税込)

プライバシーに配慮し、会員登録なしで商品をご購入いただけます。梱包には無地のダンボールを使用し、伝票に記載される内容はお客様でご指定可能です。郵便局留めや運送会社営業所留めの発送にも対応しております。
入手のメインルートは、英国とフランスのコレクターからですが、その膨大な在庫から厳選した1枚1枚を大切に扱い、専任のスタッフがオペラなどセット物含む登録商品全てを、英国 KEITH MONKS 社製マシンで洗浄し、当時の放送局グレードの機材で入念且つ客観的にグレーディングを行っております。明確な情報の中から「お客様には安心してお買い物して頂ける中古レコードショップ」をモットーに運営しております。

  


Posted by WoodStockR at 19:45Comments(0)通販レコードバロック管弦楽曲

2025年05月08日

アナログレコードの文化を守る OYAG SOUND ― 商品価格改定のお知らせ

OYAG試聴室

商品価格改定のお知らせ

 平素よりオヤッグサウンド製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。
昨今の原材料費、包装資材費などの継続的な高騰を受け、企業努力によるコスト吸収に努めてまいりましたが、現状の価格維持が困難な状況となっております。
つきましては、誠に心苦しい限りではございますが、2025年4月21日より、全商品の価格を改定させていただくこととなりました。
皆さまにはご負担をおかけいたしますが、今後もより良い製品をお届けできるよう努めてまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
今後ともオヤッグサウンドをよろしくお願いいたします。
2025年3月1日
オヤッグサウンド
代表 南野 勝

OYAGSOUND新価格

  1. OYAG SOUND 価格改定表
  2. LP用
    価格は
    税込み価格
    品名
    現行
    価格
    新価格
    OYAG33-200cc
    990
    1,210
    OYAG33-500cc
    2,090
    2,310
    OYAG33-1000cc
    3,190
    3,410
    OYAG33-2000cc
    5,060
    5,280
    OYAG33-4000cc
    8,030
    8,250

  1. OYAG SOUND 価格改定表
  2. SP用
    価格は
    税込み価格
    品名
    現行
    価格
    新価格
    OYAG78-200cc
    990
    1,210
    OYAG78-500cc
    2,090
    2,310
    OYAG78-1000cc
    3,190
    3,410
    OYAG78-2000cc
    5,060
    5,280
    OYAG78-4000cc
    8,030
    8,250

  1. OYAG SOUND
    価格改定表
  2. LP,SP用
    価格は
    税込
    品名
    現行
    価格
    新価格
    OYAGクロス
    770
    880
4月21日より新価格でお願いします。

アナログレコードの文化を守るOYAG SOUND


OYAG(オヤッグ)レコードクリーナークロス 20枚


OYAGクリーニング液とコンビで使う「OYAGレコードクリーナークロス」でレコードクリーニングがお手軽に安全に行うことが出来ます。
OYAGクロスは長年レコードクリーニングを研究してたどり着いた優れものです。
まずそのしっとりとしたソフトな質感、毛羽立ちが無く、全くレコードを傷つけることがありません、 くまなくレコードの音溝に入り込み汚れを吸い取ります。
しかも強靱で使用後の汚れたクロスを水洗い乾燥することで再び元の質感がよみがえり、再使用ができます。
このように他社では見られないすばらしい特徴をそなえたOYAGクロスはメーカーに直接交渉して開発を依頼し、少量の納品を可能としました。
それにはアナログレコードの文化を守るにはこのクロスがどうしても必要である、と開発者の強い意見がメーカー担当者を動かしたものです。

OYAG レコードクリーナー LP,EP用 200CC【新パッケージ】


見た目にはわからないレコードの汚れは、 ノイズ・傷の原因。 そんな汚れをしっかりと落とし、 汚れ・静電気の発生を抑え、クリアな音が蘇る。
レコードを永く楽しんでいただくために生まれたクリーニング剤です。
長年レコードを愛用してきたオーディオマニアが開発したレコードクリーニング液です。
レコードにOYAG33を滴下し、OYAGクロスで拭き取るだけで、レコードの汚れと静電気を取り新品のような艶がよみがえります。
しかも1度クリーニングしたレコードは静電気の発生が押さえられますので、汚れがつきにくくなります。
OYAGは1液完結タイプですので、簡単で手間がかかりません。
クリーニング後のレコードはノイズが軽減され、ノイズを気にすることなく音楽に集中できます。
そして再生された音はのびのびと今まで聞こえなかった音まで聴こえます。
まるでカートリッジのグレードをワンランクかツーランク上げたような印象をうけます。

  


Posted by WoodStockR at 13:15Comments(0)OYAG SOUNDおしらせ

2025年05月08日

個性は普段着から*イダ・ヘンデル、ベルグルンド、ボーンマス響 シベリウス&ウォルトン・ヴァイオリン協奏曲

無二の個性は普段から発散していた ― ダメであれば最初から弾き直して決してつぎはぎはしなかった。

 ポーランド出身、英国の大女流ヴァイオリニスト ― イダ・ヘンデル(Ida Haendel/1928~2020)は、ヨハンナ・マルツィやジネット・ヌヴーと同世代。カール・フレッシュとエネスコに師事し、彼女の演奏をシゲティも絶賛している。1935年ワルシャワで開催された第1回ヴィエニャフスキ国際コンクールで第7位に入賞(1位はヌヴー、2位がオイストラフ)。ヌヴーが49年に飛行機事故で早世したため、戦後のもっとも有名な女性ヴァイオリニストとなった。鋭いテクニックと、ニュアンスに富んだ音色が特徴的だが、気品よりは感情表出の激しさによって、女性ヴァイオリニストの中でも一頭地を抜いている。ヘンデルは幼少よりフレッシュやエネスコといった大家から音楽やヴァイオリンの基礎を学び、8歳でプロムス・コンサートで華々しくロンドン・デビューを飾ったという天才少女。
 ポーランド出身で Muza にはモノラル時代を含め多くの作品が残っていますが録音嫌いで、録音が極端に少ないためキャリアの割に情報は少なく過去の演奏家に錯覚されてそうだが、今も現役で活躍しています。今なお現役で、2008年に来日したときにスタジオで収録したアルバム『魂のシャコンヌ』(RCA BVCC-31116)が発売された。テクニックや艶やかな音色にはいささかの衰えもみせてはいないが、押しつけがましくない正確な感覚によるスタイル、見事なまでに自由なフレージング、楽曲の大きな方向惟に対する鋭い感覚といったヘンデルの資質は、冷静な正確さや小節レベルの 派手さといった部分的なものにこだわっていないからこそ賞賛される。
 ヘンデルは録音の際には決してつぎはぎはしないそうだ。つまり、ダメであれば小品なら最初から、ソナタであれば楽章単位で弾き直すというわけです。必要以上に細部のミスにこだわったような雰囲気は感じられない。

 ざっと500年続いて絶えていない〝ドイツ音楽〟はベートーヴェンからブラームスを中心に、そこにはシューマン。前後にはバッハやブルックナーまで人それぞれに名前が浮かぶと思います。それに対して、ウォルトンをはじめイギリスの音楽とは20世紀の音楽です。
 ヘンリー・パーセル以来、長らく自国産の作曲家を生み出さなかったため、イギリス音楽は最初にシベリウスの音楽に親近を示し、ウォルトンをはじめ作曲家たちも、その成果を摂取したのでした。民族的なものを昇華することと、表現主義の時代でもあった20世紀にあって、遅れて来た作曲者の輩出は、表現主義的なものの反動でもあった新古典、そして、イギリス紳士らしく微温な保守性が垣間見える作品となりました。また、イギリスとシベリウス録音は縁があり、ベルグルンドの最初のシベリウス交響の全集はイギリスのボーンマス交響楽団との間に為されています。
 20世紀は情報の時代で、戦争中の国民心理をラジオ放送が扇動した。そして、レコードによって全ヨーロッパに広まったのがイギリス、北欧音楽といえるでしょう。北欧のオーケストラの成熟を前にイギリスのオーケストラが支えた。それらのオーケストラを伴奏に、シベリウスやイギリスの作曲家のヴァイオリン協奏曲は、ヤッシャ・ハイフェッツ、ユーディ・メニューインによって広まり、ポーランドの音楽はイダ・ヘンデルも、また取り入れている。

ヴィンテージレコードの紹介《米デジタルリマスター盤》US ANGEL AE-34501 イダ・ヘンデル シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲

 1975年録音の高名なシベリウス・ヴァイオリン協奏曲(ASD3199)のデジタル・リマスター盤。カップリングは「2つのセレナード」、「ユーモレスク5番」からウォルトンの《ヴァイオリン協奏曲》に変更されています。80歳代になっても第一線で活躍し続けた彼女は、その長いキャリアにも関わらず、録音の少ないことで有名です。
  • 生前のシベリウス自身にも認められたというこのヴァイオリン協奏曲は、彼女の代表的名演。シベリウスの美しいメロディをひときわ引き立てる感性と表現力、3楽章での完璧な超絶技巧の冴えは圧巻。シベリウスのスペシャリストであるパーヴォ・ベルグルンドの伴奏も言うことなし。
  • US ANGEL AE-34501 イダ・ヘンデル シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲
 イダ・ヘンデルは鋭いテクニックを持ったヴァイオリニストの一人で英国のエルガー、ウォルトン等の協奏曲はもちろんのことフィンランドのシベリウスの協奏曲も大変得意としており1982年にはその功績にフィンランドの「シベリウス協会」から「シベリウス・メダル」も贈られている。楽器はストラディヴァリウス(1696年製)を使用。
(シベリウス)1975年7月7&8日サザンプトン、ギルドホール録音。(ウォルトン)1977年6月録音。プロデューサー:David Mottley、エンジニア:Neville Boyling。ステレオ録音。

 ヘンデルはヨーロッパ大陸の出身者にもかかわらず、イギリス音楽にも深い関心と理解を示し、英国楽壇への功労が認められ、1991年にはCBEを受勲した。
 エルガーやブリテンの協奏曲を積極的に演奏・録音したほか、ウォルトンの《ヴァイオリン協奏曲》の録音は、この作品の模範的演奏の一つに数えられている。この《ヴァイオリン協奏曲》は、それほど親しまれてはいませんが非常に厳粛でロマンティックな作品であり、とりわけ第2楽章がそのような性質を持つ。特に第3楽章はとりわけバイオリンの超絶技巧が要求され、ダブル・ストップや急速なアルペッジョが目立っている。技巧派のヘンデルが選んだのも無理ない話。聴き終わって、「音楽を聴いた」と感じる録音です。

 イタリア的なものの志向。決して、弦楽器の奏法に精通(せいつう)していなかったウォルトンですが、残された協奏作品であるヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの3つの協奏曲は広く知られています。3曲ともに、要求されるものは高いのに対し、技巧を喧伝するタイプの曲種ではありません。舞曲的な源泉をもち、派手に効果をあげるよりはむしろ抑制されたところに真価を発揮する。1楽章の叙情も、明瞭に光を帯びたそれではなく、ヴェールを帯びたもので、明瞭にそうした輪郭を描かないのもイギリス的なものの体質です。ヴァイオリンもその中でよく歌います。イダ・ヘンデルの演奏は、そこにあって、すべて的確に収められ過不足無く作品の性格を表現する。抒情的な性格は、ベルグルンドの指揮も巧みで、ヴァイオリンも引き立てますが、すでに、ヴァイオリンの技巧がそうしたバランスの中に引き立たせられる書法となっているのです。

レコードのディテール

Walton · Sibelius - Ida Haendel, Bournemouth Symphony Orchestra, Paavo Berglund ‎– Violin Concertos

プロダクト

レコード番号
AE-34501
作曲家
ジャン・シベリウス ウィリアム・ウォルトン
演奏者
イダ・ヘンデル
オーケストラ
ボーンマス交響楽団
指揮者
パーヴォ・ベルグルンド
録音種別
STEREO
製盤国
US(アメリカ合衆国)盤

ヴィンテージレコードのカバー、レーベル写真

US ANGEL AE-34501 イダ・ヘンデル シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲
US ANGEL AE-34501 イダ・ヘンデル シベリウス&ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲
SILVER WITH BLACK LETTERING, STEREO 1枚組(130g), Release 1986。1975年録音の高名なシベリウス・ヴァイオリン協奏曲(ASD3199)のデジタル・リマスター盤。カップリングは2つのセレナード、ユーモレスク5番からウォルトンの協奏曲に変更されています。

  


2025年05月08日

超絶技巧が良く解る◉2トラック録音 ハイフェッツ ライナー シカゴ交響楽団 ブラームス・ヴァイオリン協奏曲

歯切れの良さが圧巻で、
スリリングな楽興の時を紡ぎ出します。
胸のすくアッチェレランド、絶妙な間合い、
なかんずくふとしたところに現れるポルタメントは迷いがない。
個々のパートまではっきり分離するステレオ
わずか2本のマイクロフォンで収録された
2トラック録音にも関わらず、オーケストラ配置の
定位感が鮮明に捉えられた、録音史に残る名録音!


CDはアマゾンで購入できます。


Brahms-Heifetz-Reiner-Chicago-Symphony-Orchestra-Violin-Concerto-In-D-Op-77

【SACDはアマゾンから購入できます】不滅のリビング・ステレオSACDハイブリッド・シリーズ、ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツ、シカゴ交響楽団、フリッツ・ライナー指揮との共演による1955、57年録音盤。
 録音:1955年2月21,22日、シカゴ・オーケストラ・ホール【2トラック録音】


通販レコードのご案内オイストラフと双璧を成す名盤であり、歯切れのよさやアグレッシヴなテンションの高さは、オイストラフもかくやと言える出来だ。

US RCA LM1903 ハイフェッツ&ライナー ブラームス・ヴァイオリン協奏曲《米シェード・ドッグ盤》US RCA LM1903 ハイフェッツ&ライナー ブラームス・ヴァイオリン協奏曲
 ハイフェッツの演奏の特異性については、完璧・精巧無比・人間の限界を極めた、など様々取り沙汰されているが情熱と厳格さが混淆していることを説明する最もよい例が、このライナー/シカゴ響をバックにしたハイフェッツが奏でるブラームスのヴァイオリン協奏曲。ピッチを正確に鳴らしているだけで、ぶっきら棒に聴こえてしまうのも致し方無い。しかし、一見速いだけの演奏から、細やかなニュアンスの妙が聴ける。胸のすくアッチェレランド、絶妙な間合い、なかんずくふとしたところに現れるポルタメントは迷いがなく、ハイフェッツが単なる技巧一辺倒では決してないことが分かるだろう。
 ハイフェッツとライナー=シカゴ響の火花散る協奏曲。ハイフェッツとライナーはお互いに深い尊敬の念を抱いていたが、協奏曲の録音はブラームスとチャイコフスキーの2曲しか残されていません。ドイツ的な重厚さとは無縁のブラームス、アウアー門下としての本領が十二分に発揮されたチャイコフスキーと、いずれもハイフェッツにしか成し得ない個性的なヴィルトゥオジティを満喫でき、ライナー率いるシカゴ響の見事なアンサンブルが切れ味鋭いハイフェッツのソロを一層際立たせています。ブラームスはハイフェッツにとって2度目の録音にあたる。そして、このブラームスはコントラバスを右側に置く変則的なオーケストラ配置によっているのも特色です。
 ステレオ最初期にハイフェッツが残したブラームス。1955年に録音され、ステレオ盤(LSC1903)も存在する高名な一枚。ハイフェッツらしく快速・明快なヴィルトゥオーゾぶりを見せつける名演奏。ライナー&シカゴ響もハイフェッツに合わせてか、重くなりすぎない爽やかな伴奏で見事なアンサンブル。「泣き」のあまり入らない、ブラームスとしてはやや異色の名演奏です。
 シカゴ交響楽団と言えば、ゲオルク・ショルティの時代におけるスーパー軍団ぶりが記憶に新しいところだ。ただ、ショルティがかかるスーパー軍団を一から作り上げたというわけでなく、シカゴ響に既にそのような素地が出来上がっていたと言うべきであろう。そして、その素地を作っていたのは、紛れもなくライナーであると考えられる。
 シカゴのオーケストラ・ホールは、ボストン・シンフォニー・ホールよりも録音に向いていたようで、このホールで収録された1950年代・1960年代のライナー=シカゴ響の録音はいずれも高いクオリティに仕上がっており、オーケストラのトゥッティの響きと各パートのバランスの明晰さが両立した名録音が多いです。1958年ステレオ時代の到来と共に、RCAはライナー指揮シカゴ響と専属契約を結び、数々の名演奏を録音しました。〝Living Stereo〟は最も自然でありスリリングな録音で、現在でも他の録音に全く劣らないものです。
 個々のパートまではっきり分離するステレオは、生の音とはやや趣を異にするとはいえ、やはりすごい。スタジオ録音とはとても思えない熱気を孕んでいる。一発取りをしたとしか思えない怒濤の極みです。アンサンブルを引き締めながら、強靭な造形が生む緊張感の素晴らしさがハッキリと感じ取れます。

クラシック音楽愛好の王道、レコード・コレクターにとってファースト・チョイスの決定盤。

 ヴィルトゥオーゾと呼んで20世紀初頭頃までのクラシック音楽の演奏には曖昧さが許され、またかえってそれをよしとする風潮があったと言える。
クライスラーやエルマンの録音からは、技術的問題も含め、譜面に指示のない表現を良く行うことに気付く。その良し悪しについてはひとまず置いておき、当時は奏者の個性を前面に出す事が重んじられていたようである。
 これに対してハイフェッツは、冷静かつ正確に、一切の妥協を排除した解釈を行なった。現代では作曲者の意図を最も適切に表現する事が重んじられている。鋭い運弓と力強いヴィブラートによって創り出されるその音色は非常に特徴的である。演奏家それぞれの個性などという次元ではなく、ハイフェッツがヴァイオリンを奏でることで、別質の新しい楽器がそこにあるかのごとく錯覚を起こしそうになる。その余りに強烈な個性が、このブラームスにも宿っている。
 製作陣は RCA の一軍、ジョン・プファイファー&ルイス・チェースで 10+/PERFORMANCE/GOOD の高い評価で、現在でもトップレベルの人気盤の地位を維持している。
 多くのクラシック音楽愛好家は、その入門で、この録音に魅了され今に至るではないか。それはオリジナル盤に改めて魅了されるのも同じ録音盤というほど、ファースト・チョイスの決定盤。

3チャンネルではなくて、3トラック録音

 ライナー=シカゴ響のRCAレーベルへの録音は、1954年3月6日、シカゴ交響楽団の本拠地オーケストラ・ホールにおけるリヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」のセッションで始まりました。この録音は、その2日後に録音された同じリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」と並び、オーケストラ・ホールのステージ上に設置された、わずか2本のマイクロフォンで収録された2トラック録音にも関わらず、オーケストラ配置の定位感が鮮明に捉えられており、録音史に残る名録音とされています。これ以後、1963年4月22日に収録された、ヴァン・クライバーンとのベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番まで、約10年の間に、モーツァルトからリーバーマンにいたる幅広いレパートリーが、ほとんどの場合開発されたばかりのこのステレオ録音技術によって収録されました。
  RCAのチーフ・エンジニア、ルイス・レイトンを中心に試行錯誤を経て考え抜かれたセッティングにより、ノイマンU-47やM-49/50などのマイクロフォンとRT-21(2トラック)やAmpex社製300-3(3トラック)といったテープ・デッキで収録されたサウンドは、半世紀近く経た現在でも、バランス、透明感、空間性など、あらゆる点で超優秀録音として高く評価されています。1956年4月17日のセッションまでは2トラック録音だったが、「家庭交響曲」は3トラック録音。ヤッシャ・ハイフェッツ、アルトゥール・ルービンシュタイン、エミール・ギレリス、バイロン・ジャニスなど、綺羅星のごときソリストたちとの共演になる協奏曲も残されています。いずれもちょうど円熟期を迎えていたライナー芸術の真骨頂を示すもので、細部まで鋭い目配りが行き届いた音楽的に純度の高い表現と引き締まった響きは今でも全く鮮度を失っていません。これらの録音「リビング・ステレオ」としてリリースされ、オーケストラの骨太な響きや繊細さ、各パートのバランス、ホールの空間性、響きの純度や透明感が信じがたい精度で達成された名録音の宝庫となっています。

ヴィンテージレコード詳細

プロダクト

Heifetz, Fritz Reiner - Chicago Symphony Orchestra ‎– Brahms ‎– Violin Concerto
レコード番号
LM1903
作曲家
ヨハネス・ブラームス
演奏者
ヤッシャ・ハイフェッツ
オーケストラ
シカゴ交響楽団
指揮者
フリッツ・ライナー
録音種別
MONO
SHADED DOG, MONO 1枚組(140g), Stamper 8S/33S。

ヴィンテージレコードのカバー、レーベル写真

US RCA LM1903 ハイフェッツ&ライナー ブラームス・ヴァイオリン協奏曲
US RCA LM1903 ハイフェッツ&ライナー ブラームス・ヴァイオリン協奏曲

コンディション

ジャケット状態
EX
レコード状態
EX++
製盤国
US(アメリカ合衆国)盤

通販レコード

詳細の確認、購入手続きは品番のリンクから行えます。
  • 品番24140
  • 販売価格4,950円(税込)
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